系統別学問内容リサーチ
工学系統(商船含む)
大小さまざまなモノ(ハードウェア)をつくることに加え、人間と自然が共存していくための手法やシステム(ソフトウェア)を開発し、人間の生活や社会に役立てることが、工学系統の重要な役割です。
この系統の学問分野
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機械工学の分野
ものづくりを軸としてきた工学の核となる<機械>を研究する分野。その原理と創意工夫を土台に新しい「機械」を設計・開発する。技術やパーツを組み立てる「機械システム」が中心に
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電気通信工学の分野
電気や磁気の性質を応用し、生活や社会を快適にする、電気のエネルギー利用技術や情報通信などのエレクトロニクス技術を生み出す学問分野。機械としての表現されることも重要課題
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応用物理学の分野
“物理学の研究成果を工学に応用する”研究・学問というのが主旨。科学の基本=物理学によって発見された原理や法則性から新技術を導き出し、未来につながる先端科学を開拓する分野
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土木建築工学の分野
古今東西で蓄積された土木建設の技法を修得し、建築物から町づくり、インフラ、防災まで、私たちが快適に暮らせる生活環境についての総合的なプランニング術を研究する学問分野
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応用化学の分野
化学の研究成果として得られた、物質の“構造”や“はたらき”を土台に、既存物質の新しい機能の抽出や新しい物質の合成など、実際に人の役に立つ技術を生み出すための工学ジャンル
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応用生物学の分野
生命や生体の構造・機能を利用して、新しい物質の抽出や有用な生体的機能や技術を生み出す工学ジャンル。食糧や薬品の開発、医療技術まで広がる《バイオテクノロジー》の中核的存在
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材料工学の分野
化学や物理学の手法を工学技術に応用し、優れた機能をもつ物質(新素材)を開発する分野。一見、地味なジャンルに思われがちだが、技術は材料の歴史といわれるほど重要な研究分野
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経営工学の分野
工場や企業、地域社会において、品質と効率性の向上を図るための方策を多角的に研究し、それぞれの最大効果を引き出すシステムと運用法を追究する分野。産業や社会に役立てる実用学
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工芸学・工業デザインの分野
製品や印刷物、家や店舗、公園や道路などを対象に、人間の感性や感覚に訴える「美しさ」を創造するデザイン表現を追究する分野。機能性やコストと「美」の調和が求められるのが特質
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工学系学際の分野
新しい工学の視点から、人類が抱える重要課題や将来に大きな発展が期待される先端技術に挑むフロンティア領域。「資源工学」「地球環境工学」「先端工学」はその代表的な学際ジャンル
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商船学の分野
船舶の安全な航行術と効率的な海運システムのために、それを支える機械やエネルギー機関、電気技術と物流を総合したユニークな研究ジャンル。商船による物資輸送を支える実践的学問
教育・研修のめざすもの
人間の幸福のための「モノ」や「技術」を創り出す
工学は、人間のために役立つ「モノ」や「技術」を創り出す学問系統です。自然科学の基礎研究(理学)で確立された原理や法則をうまく利用して、人間に利便性や快適性を生み出す「応用」「実用」の学問です。その技術は、日常の暮らしや工業生産など、私たちの暮らす現代社会のあらゆる場面で利用されています。
中心になるのは、いわゆる「モノづくり」の分野です。モノが動く基本的なしくみ、モノの内部機構、化学物質の機能などを深く理解したうえで、実際にモノ(や物質)を設計して試作し、実験と検証をとおして、完成度を上げていくというのが一般的な研究手法です。
モノづくりで対象となるは、乗り物や機械、部品や材料、化学物質、建物や道路などの形のあるモノですが、それだけではなく、地球の環境を守るための技法、会社や工場の効率のよい運営法、といったソフトウェアやシステムを研究することも、工学系統の大切な役割です。
将来の進路・職業
ものづくりエンジニア中心から金融やサービス分野にも
専攻する工学分野についての高い知識と技術を修得し、工学的な眼を養うことで、モノや技術を作る「エンジニア(技術者)」となるのが、最も一般的な進路です。
たとえば、機械・電子・化学・食品・医薬品など製造業の現場(工場など)で働く「製造技術者」のほか、機械や建物、コンピュータなどの「設計技術者」、物質や材料を創造したり環境保護の技術を開発する「研究開発者」などの職種があります。研究や開発の最前線で活躍するためには、卒業後に大学院(最低でも2年の修士課程)に進み、いっそう高いレベルの技術を習得するほうが、はるかに有利となります。
そのほか、応用化学や材料工学からは、バイオや環境保護関連の仕事、土木建築工学からは、都市環境や街づくりを計画・実践する仕事、さらに、機械や電気を専攻する分野では、福祉や介護の現場と連携して介護器具や治療機械を設計する仕事など、多彩な活躍の場があります。